猫
作者:泰然自若人は目の前で予期せぬ事が起きた場合、何かしらの動作を行う事を忘れてしまう。
今、目の前に繰り広げられた一幕。
猫が車に轢かれ、車はそのまま走りぬけ、猫は突き飛ばされ宙を舞う事もなく、鈍い衝撃音の後に道路の隅で息絶えた。
呆然としていたが、直ぐに猫を直視できなくなると共に、強烈な吐き気が襲ってきた。見る機会など滅多にない。見たくも無いものを見せられた。
見知らぬ猫。何処にでも居るような茶色の猫だった。何処にでも居る、見知らぬ猫。
その猫の屍骸を見ただけで、目の前で死んだ猫が長年飼って来た家族のように可愛がった猫という存在であるかのような、猛烈な哀しみと屍骸を見たという嫌悪感が津波のように押し寄せてきた。
朝食が今にも、アスファルトを染め上げる勢いで登ってきていたのだが、ふと我に返ると何故、こんなにも慌てているのかという考えが沸き起こってくる。
見知らぬ猫という事を理解していながら、動物であり猫という種の死を目の当たりにした事によってその猫を飼っていたであろう人間に感情移入したとでも言うのだろうか。
歩を進めながら、その現場を後にする。
朝は始まったばかりであるが、その屍骸をどうこうするにしても、方法が思いつかないばかりか、飼い主でもないのに何故、態々何とかしなければならないのかという疑問を浮かべた。
その疑問によって、また、何時もと同じ日常の朝が始まる。
見知った道を通り、見知った建物に入り、見知った人に挨拶をし、見知った椅子に腰を降ろし、見知ったディスプレイを眺めながら、見知らぬデータを入力をする。
それが日常。日々の平穏。やがて、夕暮れとなり、見知った道は帰り道となって目の前を走っていく。
日常の中の僅かな変化をかみ締めながら、朝の現場へと辿り着く。既に屍骸は消えうせている。そこには、何の痕跡もなかった。
何時もと変わらない道路にアスファルトが昼の熱を帯びているように暖かいだけで、違いは街灯が灯り夜を消し去ろうと無意味な努力をしている事くらいである。だが、何故だろうか。
手をアスファルトに触れさせながら、熱を感じ取る動作を行った。屍骸のあった場所をまだ覚えていた事も不思議であった。
生暖かい湿気の強い夜風が街路樹を揺らし続け、今夜も寝苦しい事この上ないだろうという思いを強めさせる。
足が動かないのは気のせいではないが、どうにもこうにも気分が収まらないのだから仕方がない。膝を折ったままの状態で手を合わせた。
何故、そうしたのか。そうしなければならない気がしたのは確かであった。
眼を瞑り、何かを悼む。朝の光景全てをただ、悼む。
ニャア
何処かで猫の鳴き声が聞こえた気がした。
一幕 | ひとまく | Действие, эпизод |
轢く | ひく | Сбить |
衝撃 | しょうげき | Удар, столкновение |
息(が)絶える | いき(が)たえる | Испустить дух |
呆然 | ぼうぜん | Рассеяно |
襲う | おそう | Совершить налет, напасть |
滅多に | めったに | Редко |
何処 | なんしょ | Разные места |
屍骸 | しがい | Труп, мертвое тело, падаль |
猛烈 | もうれつ | Ярость, ожесточенность |
哀しみ | かなしみ | Сожаление, грусть |
嫌悪感 | けんおかん | Ненависть |
津波 | つなみ | Цунами |
態々 | わざわざ | Заранее, заботливо |
疑問 | ぎもん | Сомнения |
眺め | ながめ | Взгляд |
平穏 | へいおん | Спокойствие |
僅かな | わずかな | Малейший, какой-нибудь |
辿り着く | たどりつく | Дотащиться, добраться |
既に | すでに | Уже |
痕跡 | こんせき | Следы, остатки |
帯びる | おびる | Нести на себе |
灯り | あかり | Освещение |
揺らし | ゆらし | Колебания |
瞑る | つぶる | Зажмурить |
悼む | いたむ | Скорбеть |
У моей одноклассницы по художественной школе тоже в детстве кота задавило машиной ;_;
Но все равно спасибо! Конец вполне позитивный =) Надеюсь, эта кошка проживет еще долго =)))
Есть такой фильм Неконада ... ты кино не интересуешься, поэтому, наверно не смотрела =(
Если интересно, то официальный сайт здесь, а сам фильм можно глянуть тут =)
Да может быть и не в городе проблема, а в количествах брошенных зверей. Жалко их.
А вот полудиких собак и кошек у нас завались - они рождаются на улице и живут на улице. Например , у нас в районе целый выводок живет. Пару раз в год новыми щенками обзаводятся. Ну все их подкармливают кто как может, но кто их может защитить от автострады, железной дороги и придурков, которым доставляет удовольствие мучить животных.
Конечно, жалко =((((((((